感想戦ノート
僕のおすすめの勉強法の中に将棋ノートをつけるというものがあります。
将棋ノートにも種類があるのですが、今回はその中のひとつである感想戦ノートの作り方を紹介します。
1.感想戦ノートとは
ネット対戦なんかをすると、大抵の対戦相手は即去りしてしまい一緒に感想戦を行うことができません。
よって自分自身ひとりで感想戦をすることになります。
しかし、ひとりでやると「やった気」「わかったつもり」になってしまう恐れがあります。
今はソフトもあるので評価値が目で見えるのでわかりやすいですが、
評価値だけみて「やった気」になって終了という結果もあると思います(僕はよくあります)
記憶にとどめるコツは「思い出す回数を増やす」ことです。
何回も反復して覚えるのはこの「思い出す回数」が物理的に増えるからです。
感想戦ノートを書くことによって、「自分の手」「相手の手」「どこが悪手か」「かわりの変化は」「その時の評価値は」「詰みはあったか」
などが字として残りいつでも見直せるので、同じミスや同じ負け方をしにくくなります。
ミスが減ればそれだけ勝率があがります。
2.感想戦ノートの書き方
①準備
まずはノートを用意します。オススメはA4以上のリングノートです。
理由はある程度の大きさがあるほうがいっぱい書き込めるからです。
リングノートの理由は見開きで使うので、安定感があります。
②棋譜を書く
いよいよ執筆です。ノートの左から棋譜を書いていきましょう!
書き方は自分がわかればなんでもいいです。「1.76歩2.84歩」や「▲76歩△84歩」などです。
もし、超手数で左ページが埋まったら右ページの上に移動してください。
③気になる部分にアンダーバーを引く
ここがポイントかな?と思う所に色ペンでアンダーバーを引いてその横に①などと数字をつけてください。
ポイントとなる部分は
・形勢が動いたと思うところ
・仕掛けの直前や一段落ついたところ
・指し手がわからなかったところ
・勝利or敗北を確信したところ
などです。
だいたい5か所ぐらいはでてくると思います。
④ソフトで解析
ソフトもってないよ!って方は携帯のアプリの「ぴよ将棋」でも十分可です!
⑤ソフトと照らし合わせる
アンダーバーを引いた局面とソフトの評価や手順と比較します。
そしてノートの右ページの余白に「①評価値 手順や自分の感想」という風にコメントを書きます
これをアンダーバーを引いた所をすべてします。
⑥評価値を照らし合わせる
自分がポイントだと思った所以外でも、評価値が急激にかわっている部分があると思います。
その部分にはまた色を変えてアンダーバーを書いてA・Bなどアルファベットで書きましょう
ここは自分が気が付かなかったポイントということです。
そして右ページの余白に先ほどと同様に「A評価値 手順や感想」と書きます。
⑦最後にもう1度並べる
全て書き込みが終了したら、以上のことを踏まえてもう1度並べなおします。
それで感想戦は完了です。
3.まとめ
感想戦ノートのメリットとデメリットをまとめます!
・メリット
なんども対局を思い出すので記憶に残りやすい!
記憶に残れば同じミスはしにくくなる
成功体験も記憶に残る
符号にも強くなる
努力が形として残るのでモチベーションアップ!
・デメリット
とにかく面倒くさい
あと、個人的には数年後にノートを見返すと新たな発見があったり、自分が強くなったことを実感できたりして達成感があります
ぜひ時間と体力がある方は勉強法として取り入れてみてください!
権利を得て義務を押し付けよう
プロの解説を聞いていると、たまに
「この手は権利なので今する必要ないです」といったことを言われます。
この権利というのは非常に大切なポイントです。
また、対となる言葉で義務があります。
今回は将棋における権利と義務の話です。
1.権利
権利とは、してもしなくてもいい手です。
例えば、歩がぶつかっている状態としましょう。
自分はその歩を「取ってもいい」し「取らずに他の手を指してもいい」ということになります。
こういう状態を「歩を取る権利がある」と言います。
もちろん歩を取れば有利になるなら取った方がいいです。
ただ、歩を取るメリットよりほかの手のメリットが大きければ別の手を指してもいいのです。
また、権利にもいくつか種類があります。
・駒を取る権利
・開戦する(先に攻める)権利
・手を渡す権利
などです
このような権利が発生した局面で比較することは
「素直に権利を施行した場合のリスクリターン」
と
「他の手を施行した場合のリスクリターン」
です
棋風によってはハイリスクハイリターンの選択が好きな方もいると思います。
攻め将棋の方はそういった傾向にあります。
僕なんかはリターンがすくなくても、よりリスクが少ない方を選ぶ傾向にあります。
2.義務
義務は将棋用語ではあまりでてこいないと思います。
言い方をかえると
「この手を指さないといけない」と言われるような局面です。
~しないといけない のが義務です。
その手以外は基本的には悪くなります。
つまり、義務を課せられ続けるとずっと相手のターンのような状態になります。
逆に相手に義務を押し付けることができれば
局面も読みやすいですし、精神的にも楽になります。
義務の種類としては
・駒を取らなければならない(利かしもこの一種)
・1度受けなければならない
・相駒をしなければならない(相駒請求)
などです
わかりやすい義務は「詰めろ」ですね
解除しないと次に詰んでしまいますので、即詰み以外はこちらの勝ちになります。
3.まとめ
すこし難しい内容だったかもしれませんが、意識するだけで将棋が楽しくなる部分でもあります。
権利はすなわち自分の選択肢の多さです。
選択肢が多ければ迷ってしまいますが、やはりその中で良いと思えるものを選べるのは大きなメリットです。
序中盤では特に権利が多い方が主導権を握りやすいです。
一方、義務は終盤になればなるほど絶大な力を発揮します。
将棋はスピードを競うゲームなので
その中で相手の行動を1ターン封じるような効果があるのがこの義務です。
詰めろや王手は受けなければならない義務なので自分は義務を課せられないようにして
相手にどんどん義務付けていくことを意識しましょう!
「開戦は歩の突き捨てから」からの~
僕は将棋をはじめた頃、将棋の格言を覚えるのが好きでした。
数々の将棋の格言の中で「開戦は歩の突き捨てから」というものがあります。
意味合いとしては
先に歩を突き捨てておくことで後の攻めがスムーズになる
というものです。
初心者の頃ははじめに歩損するのでかなり抵抗がありました。
また、大きな疑問がずっと残っていました。それは
後のスムーズな攻めがわからねえ・・・!!!
ということです。
今回はそんな後の攻め方をいくつか紹介します。
1.歩を突き捨てたら銀を出ろ!
銀を使っての攻めは将棋の基本です。1番有名なのは棒銀ですね。
攻めの銀が5段目に進出すれば攻めはだいたい成功します。
しかし、相手は歩で銀の進出を阻んできます。そこで銀で歩を取り返せるようにしておけば銀が進めるということです。
あえて3段目に銀がいる状態で歩をぶつけて、取らせて次に4段目に進出することによって
次は確実に5段目にいけるということです。
2.歩を突き捨てたら桂頭(角頭)を狙え!
角換わりや対抗型でよくある展開です。
相手の桂頭(角頭)の歩を突き捨てておいて他の筋で歩を入手して突き捨てて空いた空間に桂取り(角取り)で歩を打つテクニックです。
頻繁に出ますし、将棋の急所でもありますので是非マスターしておきたい概念です。
3.歩を突き捨てたら敵陣に大駒を打ち込め!
角交換の将棋限定です。
歩を突き捨てておけばその突き捨てた歩を回収するときに、その場所に駒が移動できます。
さらに馬も作れるのでかなり味がいいです。
4.まとめ
だいたい狙いはこの3つですね。
もっと歩が大量にあれば端なんかも狙ってもいいですが、それは開戦というよりかは、開戦後の話なので今回は割愛しました。
また、この3つは複合的です。
歩の突き捨ては1か所でなくてはならないというルールはないです。
何か所でも突き捨てていいのです。
例えば
歩を何か所か突き捨てる→銀を繰り出して駒交換する→その後空いた桂頭に歩を打つ→さらに乱れた相手の陣形に角を打ち込んで駒を成る
なんて展開にできればどうですか?
文字だけでも優勢になったと感じませんか?
駒がぶつかる瞬間は非常にデリケートな問題です。とくに開戦は今後の優劣がしっかりと一旦はついてしまう可能性が高いです。
この仕掛けは成功するのかどうか不安なときは、この3つの狙いが成功するかどうかを1度思い描いてください。
いけそうだと思うなら是非その読みに挑戦してください!
思い通り・読み通りに進んで綺麗に優勢になったときは本当に気持ちがいいものです。